第10回 公的年金の仕組みを50代向けにやさしく整理|国民年金・厚生年金の全体像
1. はじめに:会社員は厚生年金だけに入っているのか
- 自分の年金は、国民年金と厚生年金のどちらなのでしょうか
- 会社員は、厚生年金だけに加入しているのでしょうか
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金には、どのような違いがあるのでしょうか
公的年金は難しく感じやすい制度ですが、まずは「国民年金」と「厚生年金」の2階建てで考えると、全体像が見えやすくなります。
会社員は、国民年金と厚生年金の両方に加入しています。
老後には、国民年金から「老齢基礎年金」、厚生年金から「老齢厚生年金」を受け取るのが基本です。
また、公的年金には老後の生活を支える役割だけでなく、病気やけがで障害が残った場合や、家計を支えていた人が亡くなった場合に生活を支える役割があります。
この記事では、公的年金の全体像を、50代の会社員が確認したいポイントに絞って整理します。
2. 結論:会社員の公的年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金
公的年金は、退職後の収入を支える土台です。
会社員の公的年金は、次の2つを組み合わせて考えます。
- 1階部分:国民年金から受け取る老齢基礎年金
- 2階部分:厚生年金から受け取る老齢厚生年金
会社員は「厚生年金だけに加入している」と思われがちですが、実際には国民年金にも加入し、その上乗せとして厚生年金に加入しています。
企業年金やiDeCoなどは、公的年金とは別の上乗せ部分です。
50代では、年金制度の細かい仕組みをすべて覚える必要はありません。
まず確認したいのは、次の3点です。
- 自分の年金加入記録に誤りや漏れはないか
- 65歳から受け取る年金の見込み額はいくらか
- 公的年金を退職後の収入計画にどのように組み込むか
公的年金だけを見るのではなく、再雇用収入、企業年金、退職金、預貯金などと組み合わせて考えることが大切です。
3. 基本知識:公的年金を理解する7つの視点
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公的年金は2階建てになっている
日本の公的年金は、国民年金と厚生年金の2階建てになっています。
- 1階部分:国民年金
- 2階部分:厚生年金
日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は、原則として国民年金に加入します。
会社員や公務員などは、国民年金に加えて厚生年金にも加入します。
そのため、会社員は2つの年金制度に加入していることになります。
企業年金、企業型確定拠出年金、iDeCo、個人年金保険などは、公的年金とは別の上乗せ部分として考えます。
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国民年金はすべての人に共通する1階部分
国民年金は、公的年金の土台となる制度です。
国民年金の加入者は、職業や立場によって次の3つに分かれます。
- 第1号被保険者:自営業者、学生、無職の人など
- 第2号被保険者:厚生年金に加入する会社員や公務員など
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される一定の配偶者
会社員は第2号被保険者として、国民年金と厚生年金の両方に加入します。
ただし、会社員が国民年金保険料を別に納めるわけではありません。
厚生年金保険料が給与や賞与から差し引かれ、勤務先を通じて納付されます。
老後には、国民年金から老齢基礎年金を受け取ります。
その金額は、保険料を納めた期間や免除された期間などによって変わります。
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厚生年金は会社員などの2階部分
厚生年金は、会社員や公務員などが加入する公的年金です。
国民年金に上乗せされる2階部分にあたり、老後には老齢厚生年金として受け取ります。
厚生年金には、次のような特徴があります。
- 給与や賞与をもとに保険料が決まる
- 保険料は勤務先と本人が折半して負担する
- 本人負担分の厚生年金保険料は給与や賞与から差し引かれ、勤務先を通じて納付される
- 加入期間や給与・賞与の水準が将来の年金額に反映される
会社員として働いた期間が長く、給与や賞与の水準が高いほど、老齢厚生年金の金額も増える傾向があります。
転職や退職、再雇用などによって厚生年金の加入状況が変わるため、自分の加入記録を確認しておくことが大切です。
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老齢基礎年金と老齢厚生年金は原則65歳から受け取る
老齢基礎年金は、保険料を納めた期間や免除された期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合、原則として65歳から受け取ることができます。
会社員として厚生年金に加入した期間がある人は、老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金を受け取ります。
会社員の老齢年金は、次のように整理できます。
- 老齢基礎年金:国民年金から受け取る1階部分
- 老齢厚生年金:厚生年金から受け取る2階部分
年金の見込み額を確認するときは、老齢基礎年金と老齢厚生年金を分けて確認したうえで、合算額を把握します。
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年金は受け取り時期によって金額が変わる
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則として65歳から受け取ります。
ただし、一定の条件のもとで、受け取り開始時期を変更できます。
- 60歳から64歳までに受け取る繰り上げ受給
- 66歳から75歳まで受け取りを遅らせる繰り下げ受給
繰り上げ受給を選ぶと年金額は減額され、繰り下げ受給を選ぶと増額されます。
受け取り開始時期は、年金額だけで決めるものではありません。
健康状態、働きかた、60歳以降の収入、預貯金などを含めて考える必要があります。
第10回では制度の全体像に留め、繰り上げ・繰り下げ受給については、「第35回 年金の繰り上げ・繰り下げ受給をどう考えるか」で詳しく整理します。
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公的年金には老齢・障害・遺族の3つの役割がある
公的年金は、老後のためだけの制度ではありません。
主に次の3つの役割があります。
- 老齢年金:年を重ねた時の生活を支える
- 障害年金:病気やけがで生活や仕事が制限されたときに生活を支える
- 遺族年金:家計を支えていた人などが亡くなったときに遺族の生活を支える
障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金があります。
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
どの年金が受け取れるかは、初診日や保険料の納付状況、加入していた年金制度、障害の程度、家族構成などによって異なります。
公的年金は、老後の収入に備えるだけでなく、現役時代の万一にも備える社会保険制度です。
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50代では年金の見込み額を退職後の収入計画に組み込む
50代のリタイアメントプランニングでは、年金制度を理解するだけでなく、自分の年金見込み額を確認する必要があります。
確認したいのは、次のような項目です。
- 老齢基礎年金の見込み額
- 老齢厚生年金の見込み額
- 65歳から受け取る場合の合計額
- 配偶者の年金の見込み額と受け取り開始時期
- 60歳から65歳までの収入
- 年金から税金や社会保険料を差し引いた後の手取り
- 企業年金や退職金など、公的年金以外の収入
これらをキャッシュフロー表に組み込むことで、退職後に不足する金額や、預貯金を取り崩す時期が見えやすくなります。
4. 注意点:公的年金だけで退職後のお金を判断しない
注意点1:会社員は厚生年金だけだと思わない
会社員は、国民年金と厚生年金の両方に加入しています。
老後には、老齢基礎年金と老齢厚生年金を組み合わせて受け取るのが基本です。
ねんきん定期便やねんきんネットを見るときも、2つの年金を分けて確認しましょう。
注意点2:現在の見込み額が確定額だと思わない
年金の見込み額は、今後の給与、働きかた、厚生年金の加入期間、受け取り開始時期などによって変わります。
50代で確認した見込み額をそのまま確定額と考えず、退職時期や働きかたを変更したときは、改めて試算しましょう。
注意点3:額面だけで生活費を判断しない
公的年金からは、税金や健康保険料・介護保険料などが差し引かれる場合があります。
年金の額面が、そのまま生活費に使える金額になるとは限りません。
退職後の生活と比較するときは、手取り額を見込んで考えることが大切です。
注意点4:夫婦の一方だけで考えない
夫婦で退職後のお金を考える場合は、夫婦それぞれの年金の見込み額と受け取り開始時期を確認します。
年齢差がある夫婦では、年金の受け取りが始まる時期も異なります。
どちらか一方の年金だけでなく、世帯全体の収入として確認しましょう。
注意点5:公的年金だけで老後資金を判断しない
公的年金は退職後の収入の土台ですが、すべての生活費や特別支出をまかなえるとは限りません。
次のような収入や資産も含めて考える必要があります。
- 再雇用などによる給与収入
- 企業年金
- 退職金
- 預貯金
- 資産運用による収入
公的年金を含む収入、支出、資産の3つをキャッシュフロー表にまとめ、将来の資産残高を確認しましょう。
5. 自分ごと化:公的年金を整理する10の確認項目
次の項目について、ご自身の状況を確認してみましょう。
- 会社員は国民年金と厚生年金の両方に加入することを理解しているか
- ねんきん定期便やねんきんネットで年金加入記録を確認しているか
- 老齢基礎年金の見込み額を確認しているか
- 老齢厚生年金の見込み額を確認しているか
- 65歳から受け取る年金の合計額を確認しているか
- 何歳から年金を受け取る前提で考えているか
- 60歳から65歳までの生活費をどのようにまかなうか考えているか
- 夫婦それぞれの年金の見込み額と受け取り開始時期を確認しているか
- 障害年金や遺族年金があることを理解しているか
- 公的年金、企業年金、退職金、預貯金などをまとめて確認しているか
このうち、特に重要なのは、2・5・10です。
2. 年金加入記録を確認しているか / 5. 65歳から受け取る年金の合計額を確認しているか / 10. 公的年金以外の収入や資産も含めて確認しているか
この3項目を確認すると、「これまでの加入記録」「65歳からの収入」「退職後のお金の全体像」を整理できます。
この記事を読んだ方は、まず、
ねんきん定期便またはねんきんネットを確認し、老齢基礎年金と老齢厚生年金の見込み額を書き出してみましょう。
6. まとめ:公的年金は2階建てと3つの役割で考える
公的年金は難しく感じやすい制度ですが、国民年金と厚生年金の2階建てで考えると、全体像が整理しやすくなります。
<今日のポイント>
- 公的年金は退職後の収入の土台になる
- 日本の公的年金は、国民年金と厚生年金の2階建てになっている
- 会社員は、国民年金と厚生年金の両方に加入している
- 会社員は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を組み合わせて受け取る
- 老齢年金は、原則として65歳から受け取る
- 公的年金には、老齢年金、障害年金、遺族年金の3つの役割がある
- 50代では、自分の年金見込み額を退職後の収入計画に組み込むことが大切
50代では、制度の細かい部分をすべて覚えるよりも、自分の年金加入記録と見込み額を確認することが大切です。
ご自身の場合、公的年金がいつから、どのくらい受け取れるのかを確認したい方は、年金の見込み額を退職後の収入計画に組み込んで考えてみましょう。
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出典・参考(2026年9月14日現在)
日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」
日本年金機構「老齢年金」
日本年金機構「障害年金」
日本年金機構「遺族基礎年金」
日本年金機構「遺族厚生年金」
日本年金機構「ねんきんネット」
※本記事は、公的年金に関する一般的な情報を提供するものです。
※実際に受け取れる年金の種類や金額は、生年月日、加入記録、保険料の納付状況、給与、家族構成、受け取り開始時期などによって異なります。
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