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年金の基本と活用

第14回 老齢基礎年金と老齢厚生年金の基本|50代会社員が知っておきたい年金の内訳

1. はじめに:年金の見込み額は「内訳」を見る

第13回では、ねんきん定期便やねんきんネットを使って、自分の年金額を調べる方法を整理しました。
年金の見込み額を確認したら、次に見ておきたいのが、その内訳です。

  • 老齢基礎年金と老齢厚生年金は、何が違うのでしょうか
  • 会社員は、どちらの年金を受け取るのでしょうか
  • それぞれの年金額は、どのように決まるのでしょうか
  • ねんきん定期便の金額は、どのように見ればよいのでしょうか
  • 退職後の生活費とは、どのように比較すればよいのでしょうか

会社員の公的年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を組み合わせて受け取るのが基本です。
合計額だけでなく、それぞれの金額と役割を確認することで、退職後の収入を具体的に考えやすくなります。

この記事では、老齢基礎年金と老齢厚生年金の違い、年金額の決まり方、50代会社員が確認したいポイントを整理します。

2. 結論:老齢基礎年金は土台、老齢厚生年金は上乗せ

老齢基礎年金は、公的年金の土台となる1階部分です。
老齢厚生年金は、会社員や公務員などとして厚生年金保険に加入した期間に応じて受け取る2階部分です。

会社員の公的年金収入は、「老齢基礎年金+老齢厚生年金」で考えるのが基本です。

 <老齢基礎年金と老齢厚生年金の基本整理>

項目 老齢基礎年金 老齢厚生年金
対応する制度 国民年金 厚生年金保険
位置づけ 公的年金の1階部分 公的年金の2階部分
主な対象 老齢基礎年金の受給資格を満たす人 老齢基礎年金の受給資格を満たし、厚生年金保険の加入期間がある人
受け取り開始 原則65歳 原則65歳
年金額の決まり方 保険料納付済み期間や保険料免除期間などに応じて決まる 厚生年金保険に加入していた期間の給与・賞与などに応じて決まる
会社員との関係 会社員にも共通する土台 会社員として働いた期間に応じた上乗せ

50代会社員の方は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を分けて確認したうえで、2つを合計した金額を退職後の生活費と比較することが大切です。

3. 基本知識:老齢基礎年金と老齢厚生年金を理解する7つの視点

① 「加入する制度」と「受け取る年金」を分けて考える

年金を理解するときは、「現役時代に加入する制度」と「老後に受け取る年金」を分けて考えると整理しやすくなります。

<現役時代に加入する制度>

  • 国民年金
  • 厚生年金保険

<老後に受け取る年金>

  • 老齢基礎年金
  • 老齢厚生年金

会社員は、厚生年金保険の加入者であると同時に、国民年金の第2号被保険者でもあります。
そのため、一定の受給要件を満たすと、老後には老齢基礎年金と老齢厚生年金を組み合わせて受け取ります。

「国民年金・厚生年金保険」は加入する制度、「老齢基礎年金・老齢厚生年金」は老後に受け取る年金です。

② 老齢基礎年金は公的年金の土台になる

老齢基礎年金は、国民年金から支給される公的年金の1階部分です。
保険料納付済み期間、保険料免除期間、合算対象期間などを合計した受給資格期間が10年以上ある場合に、原則として65歳から受け取れます。
年金額には、主に次の期間が関係します。

  • 国民年金保険料を納めた期間
  • 厚生年金保険に加入していた期間のうち、原則として20歳から60歳までの期間
  • 国民年金保険料の免除を受けた期間
  • 第3号被保険者であった期間

会社員は、国民年金保険料を別に納めるのではなく、厚生年金保険料を納めることで国民年金にも加入した扱いになります。

会社員にとっても、老齢基礎年金は退職後の公的年金収入の土台です。

③ 老齢厚生年金は会社員として働いた期間の上乗せになる

老齢厚生年金は、厚生年金保険に加入していた期間がある方に、老齢基礎年金へ上乗せして支給される年金です。
原則として65歳から受け取ります。
老齢厚生年金の金額には、主に次の項目が関係します。

  • 厚生年金保険に加入していた期間
  • 加入期間中の給与
  • 加入期間中の賞与
  • 60歳以降も厚生年金保険に加入して働いた期間

一般的には、厚生年金保険への加入期間が長く、加入期間中の給与や賞与が高いほど、老齢厚生年金の金額も多くなります。

老齢厚生年金は、会社員として働いた期間と、その間の給与・賞与が反映される年金です。

④ 2つの年金は金額の決まり方が違う

老齢基礎年金と老齢厚生年金では、年金額の決まり方が異なります。

老齢基礎年金は、保険料を納めた月数や免除を受けた月数などを基に計算されます。
保険料の未納期間や、追納していない学生納付特例・納付猶予期間などがある場合は、満額より少なくなることがあります。

一方、老齢厚生年金は、厚生年金保険に加入していた期間と、その期間中の給与・賞与などを基に計算されます。
最後の給与だけで決まるものではありません。

老齢基礎年金は主に加入期間、老齢厚生年金は加入期間と給与・賞与などが年金額に関係します。

⑤ ねんきん定期便で2つの見込み額を確認する

50代会社員の方は、ねんきん定期便の「老齢年金の種類と見込額(年額)」で、老齢基礎年金と老齢厚生年金の見込み額を確認できます。
確認したいのは、次の4つです。

  • 老齢基礎年金の見込み額
  • 老齢厚生年金の見込み額
  • 2つを合計した年額
  • 合計した年額を12で割った月額の目安

例えば、老齢基礎年金の見込み額が年額80万円、老齢厚生年金の見込み額が年額100万円の場合、合計額は年額180万円です。
単純に12で割ると、月額の目安は15万円になります。

合計額だけでなく、老齢基礎年金と老齢厚生年金の内訳を分けて確認しましょう。

ただし、ねんきん定期便に記載された金額は、税金や社会保険料などが差し引かれる前の金額です。

⑥ 夫婦の場合は、それぞれの年金を確認する

夫婦で退職後のお金を考える場合は、夫婦それぞれについて、老齢基礎年金と老齢厚生年金の見込み額を確認します。
確認したいのは、次の項目です。

  • 夫の老齢基礎年金
  • 夫の老齢厚生年金
  • 妻の老齢基礎年金
  • 妻の老齢厚生年金
  • 夫婦それぞれの受け取り開始時期

夫婦に年齢差がある場合は、年金を受け取り始める時期も異なります。
そのため、夫婦の年金額を単純に合計するだけでなく、何年から世帯の年金収入がそろうのかを確認する必要があります。

夫婦の年金は、金額だけでなく、受け取りが始まる時期も確認することが大切です。

⑦ 公的年金以外の収入とあわせて考える

退職後の収入は、老齢基礎年金と老齢厚生年金だけとは限りません。
次のような収入がある場合は、公的年金とは分けて整理します。

  • 再雇用などによる給与収入
  • 企業年金
  • iDeCoなどの私的年金
  • 個人年金保険
  • 退職金
  • 預貯金の取り崩し
  • 資産運用による収入

また、60歳で退職し、公的年金を65歳から受け取る場合は、60歳から65歳までの生活費を別に準備する必要があります。

老齢基礎年金と老齢厚生年金は退職後の収入の中心ですが、退職後のお金のすべてではありません。
公的年金以外の収入、生活費、預貯金なども含めて、キャッシュフロー表で時系列に確認することが大切です。

4. 注意点:1階・2階だけで単純に判断しない

注意点1:老齢基礎年金は全員が同じ金額ではない

老齢基礎年金は公的年金の共通する土台ですが、全員が同じ金額を受け取るわけではありません。
保険料納付済み期間、保険料免除期間、未納期間などによって年金額が異なります。
見込み額が満額より少ない場合は、その理由を年金加入記録で確認しましょう。

注意点2:老齢厚生年金は退職時の給与だけで決まらない

老齢厚生年金は、退職時の給与や最後の給与だけで決まるものではありません。
厚生年金保険に加入していた期間と、その期間中の給与・賞与などを基に計算されます。
転職や再雇用によって給与が変わった場合も、それぞれの期間の記録が年金額に反映されます。

注意点3:現在50代の方は原則65歳からと考える

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則として65歳から受け取ります。
一部の世代には、65歳より前に受け取る「特別支給の老齢厚生年金」がありますが、対象となる生年月日は限られています。
2026年9月現在、50代の方は特別支給の老齢厚生年金の対象ではありません。
60歳で退職する場合は、65歳までの収入や預貯金の取り崩し方を別に考える必要があります。

注意点4:額面と手取りは違う

ねんきん定期便やねんきんネットに表示される年金の見込み額は、税金や社会保険料などが差し引かれる前の金額です。
実際には、所得税、住民税、健康保険料、介護保険料などが差し引かれる場合があります。
退職後の生活費と比較するときは、額面だけでなく手取り額も見込んでおきましょう。

注意点5:企業年金やiDeCoは別に確認する

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、公的年金です。
企業年金、iDeCo、個人年金保険などは、公的年金とは別に確認する必要があります。
受け取り開始時期や受け取り方法も異なるため、すべてを年額や月額に整理して比較しましょう。

5. 自分ごと化:年金の内訳を確認する10の項目

次の項目について、ご自身の状況を確認してみましょう。

  1.  最新のねんきん定期便を手元に用意しているか
  2.  老齢基礎年金の見込み額を確認しているか
  3.  老齢厚生年金の見込み額を確認しているか
  4.  2つを合計した年額と月額の目安を確認しているか
  5.  年金加入期間や加入記録に漏れがないか確認しているか
  6.  老齢基礎年金が満額より少ない場合、その理由を確認しているか
  7.  60歳以降も働いた場合、老齢厚生年金がどのように変わるか試算しているか
  8.  配偶者の老齢基礎年金と老齢厚生年金も確認しているか
  9.  企業年金やiDeCoなど、公的年金以外の収入を確認しているか
  10.  年金、生活費、退職金、預貯金などをキャッシュフロー表で確認しているか

このうち、特に重要なのは、2・3・10です。

2. 老齢基礎年金の見込み額を確認しているか / 3. 老齢厚生年金の見込み額を確認しているか / 10. 年金を生活費や資産とあわせて確認しているか

 この3項目を確認すると、「公的年金の内訳」「65歳以降の年金収入」「退職後のお金の全体像」を整理できます。

この記事を読んだ方は、まず、
ねんきん定期便やねんきんネットを確認し、次の4つを書き出してみましょう。

  • 老齢基礎年金の見込み額
  • 老齢厚生年金の見込み額
  • 2つを合計した年額
  • 年額を12で割った月額の目安

そのうえで、月額の目安と退職後の生活費を比較してみてください。

6. まとめ:年金の合計額と内訳の両方を確認する

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、50代会社員の退職後の収入を考えるうえで基本となる公的年金です。

 <今日のポイント>

  • 老齢基礎年金は、公的年金の土台となる1階部分
  • 老齢厚生年金は、会社員として働いた期間に応じた2階部分
  • 会社員は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を組み合わせて受け取るのが基本
  • 老齢基礎年金は、保険料納付済み期間や免除期間などが年金額に関係する
  • 老齢厚生年金は、加入期間中の給与・賞与などが年金額に関係する
  • 合計額だけでなく、それぞれの見込み額を分けて確認する
  • 夫婦の場合は、夫婦それぞれの金額と受け取り開始時期を確認する
  • 公的年金以外の収入、生活費、退職金、預貯金などもあわせて考える

年金の内訳を理解する目的は、制度に詳しくなることではなく、退職後の収入を具体的に把握することです。
ご自身の場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金をあわせて、退職後にどのくらいの公的年金収入が見込めるのかを確認したい方は、生活費や預貯金などとともにキャッシュフロー表で時系列に整理するとわかりやすくなります。

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出典・参考(2026年9月25日現在)

日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
日本年金機構「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」
日本年金機構「大切なお知らせ、『ねんきん定期便』をお届けしています」
日本年金機構「令和8年度『ねんきん定期便』(ハガキ)の見方(50歳以上の方)」
日本年金機構「ねんきんネット」

※本記事は、公的年金に関する一般的な情報を提供するものです。
※実際に受け取れる年金の種類や金額は、生年月日、年金加入記録、保険料の納付状況、給与、厚生年金保険の加入期間、受け取り開始時期などによって異なります。
※ねんきん定期便、ねんきんネット、年金事務所などで最新の情報をご確認ください。

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